プライマリーMRの今後の将来性をグローバルHPのパイプラインから解説するよ!
「僕が入社した10年以上前はプライマリー全盛期でした!
オンコロジーMRも人気でしたが、プライマリーも負けず劣らずの領域でした。
それから10年プライマリー製品は厳しいと言われていますが、本当なのでしょうか?
グローバルホームページから大手外資系製薬会社8社のパイプラインを見てみました。」
プライマリーはオワコン。。。
これは周知の事実のように話されます。
確かに創薬分野で期待のプライマリー製品の話は聞きません。。。
ただ噂で判断してはいけませんので、今回それを実証すべく、各製薬会社のグローバルのホームページを確認してみました。
確認したのは大手8社(ファイザー、ロシュ、ノバルティス、サノフィ、メルク、GSK、アストラゼネカ、イーライリリー)です。
どこも大手ばかりですね!
大手外資系製薬会社のパイプラインを分析した理由は、資本主義である限り、資本(お金)が業界の流れを作ると信じているからです。
結果は納得の反面、1社だけめちゃくちゃ凄い会社があったんです。
プライマリーもこの1社だけは別格で、生き残りますね。。
目次
ファイザーのプライマリー製品パイプラインを検証してみる
Metabolic Disease and Cardiovascular Risks、Neuroscience あたりがプライマリー製品を抱えていると思われます。
実際、Phase2は2個、Phase3は1個、申請中1個です。
Metabolic Disease and Cardiovascular Risksに関しては、SGLT2阻害薬のみになっています。
SGLT2阻害薬は糖尿病の治療薬で、現在競合が激しくDPP-4阻害薬との配合剤も発売されている段階です。
果たしてこの製剤に未来はあるのでしょうか。。。
Neuroscienceもパーキンソンとてんかん薬になります。
ある程度マンパワーは必要かもしれませんが、今いるメンバーで十二分に事が足りるような気がします。
ロシュ(中外製薬)のプライマリー製品パイプラインを検証してみる
アルツハイマーの薬がPhase3に2個ありました。
その他はオンコロジー製品や抗体製剤ばかりです。。
正直、プライマリー領域の将来はロシュ(中外製薬)ですら、厳しいと思われます。
そもそも戦略的に抗体製剤でしたので、軸をブラさずにそちらの領域では勝ち組になるかと思われます。
現在発売中のヘムライブラの血友病の薬もプライマリーが担当していますが、その中に専門部隊があります。
ですので、実質プライマリー部隊は窓口ってな感じです。
そもそも処方される病院が限られていますので、プライマリー領域が担当していてもほぼ希少疾病領域になります。
ノバルティスのプライマリー製品パイプラインを検証してみる
ノバルティスのプライマリー製品のパイプラインは豊富でした。
Cardiovascular and metabolism、Respiratory、Neuroscienceがプライマリー領域だと思われます。
Phase3が9個、申請中3個が現在の状況です。
Cardiovascular and metabolismがPhase3が2個、申請中1個です。
高血圧、体重減少、脳卒中と心房細動、心不全、心筋梗塞
RespiratoryがPhase3が3個です。
喘息2個とCOPDです。鼻ポリープもありますが抗体製剤なので、おそらく希少疾病扱いになるでしょう。
それぞれ配合剤だと思われますが、吸入なので非常に利便性が高くなるので医療ニーズはあると思われます。
現在、発売していない組み合わせになるので、市場規模も大きいです。
NeuroscienceはPhase3が5個、申請中2個です。
末梢神経疼痛は2000万人と言われていますので、非常に大きな市場です。
その他にもアルツハイマーや片頭痛などプライマリー製品がこの分野でも活発にパイプラインが用意されています。
圧倒的にプライマリー製品が多く開発されていました。
正直、ノバルティスだけ別格です。
ノバルティスのプライマリーは10年間は安泰のような気がします。
サノフィのプライマリー製品パイプラインを検証してみる
DMで2個、掲載されていました。
SGLT1,2とインシュリンです。
SGLT1,2はノバルティスのパイプラインでも掲載されていましたが、適応症が違います。
サノフィはDM。ノバルティスは体重減少(痩せ薬?)の記載になります。
ここからもノバルティスの戦略が見えてきますね。
MERCK(MSD)のプライマリー製品パイプラインを検証してみる
Phase3に3個ありましたが、どれも配合剤になります。
SGLT2阻害剤とメトホルミンやDPP-4阻害剤とメトホルミンの配合剤になります。。
正直、タマがないのが現状です。厳しい!!
GSKのプライマリー製品パイプラインを検証してみる
1個。。COPDの配合剤のみです。。。
Phase2まで見てみるとアルツハイマーがありますが、現状直近に予想されているプライマリー製品は1つです。。
コントラクトの社員も多くしていると聞きますので、おそらく発売時にどーーんと採用件数を増やしてから、MR人数を減らすのかもしれませんね。。
ちなみに中身を見てみると抗体製剤の開発に力を注いでいるようでした。
アストラゼネカのプライマリー製品パイプラインを検証してみる
Phase3に4製品ありました。
内容はCOPDや高脂血症になります。
まだ生き残れそうな感じですが、開発優先度がPD-1製剤にめちゃくちゃ傾ています。
ホームページを確認して頂ければ分かりますが、オンコロジー製品の試験がかなり行われています。
イーライリリーのプライマリー製品パイプラインを検証してみる
Phase3は2つでした。。
低血糖の予防?か分かりませんが、グルカゴン製剤がパイプラインに予定されていました。
あとはアルツハイマーの治療薬になります。
どの会社もアルツハイマー治療薬の開発に力を入れています。
確かに一攫千金の可能性は秘めている領域ですが、昨今の開発中止が相次いでいますので、この領域の開発は難しいんでしょうね。。。
では、今後プライマリーのMRはどうなるの?
正直、ノバルティス以外は今の規模を支える程のパイプラインがありません。
それを見据えて、今後も早期退職を繰り返し、プライマリー領域のMR数も適正化していくでしょう。
ここからは現役CSO(コントラクトMR)社員と話した結果、1つの面白い仮説が出てきたので、記事として書きます。
彼は、今後コントラクトMRのニーズが増えてくると言っていました。
ロジックはこんな感じです。
(現在)会社は固定費を下げたいので、正社員をできるだけ、リストラする。
プライマリー製品が上市されるタイミングだけ、コントラクトMRが単年契約で入社する。
上市数年で採用件数を増やし、新薬のコアメッセージを全国の医師に伝える。
正社員はそのコントラクトMRのリーダー的な存在で、小さなチームとして束ねる。今の上司のように同行も行い、新製品が軌道に乗れば、正社員のみで主要施設を回る。
事実、コントラクトMRの契約金は短くなっています。現在は産休&育休で抜ける期間だけ採用されるコントラクトMRが急増していますが、今後は新薬上市のタイミングだけ採用される日も近いでしょう。
まさに製薬会社のニーズに合わせて、CSOが対応する将来図は見えています。
ちなみにCSOに中途入社するのも難しいと言われている昨今ですが、実はCSOは様々なニーズに対応するため進化しています。
その1つが製薬会社の電話対応です。
名刺に記載されている問合せ先の社員は、実は外部会社(=CSO)が請け負っているケースが増えてきています。開発部門も外注が流行っているので、全ての分野において、コストカットの方向に動いています。
まとめ
世界Top10に入る会社のパイプラインを確認してみました。
実際、プライマリー製品(生物学的製品を除く、患者多数の領域)のパイプラインは激減していました。
その影響を受け、MRの整理がさらに進み、アメリカのようにMR数が適正化していく流れは確実でしょう。
ただ、どの会社としてはオンコロジー製品、免疫分野では一定数の製品があります。
ですので、長期的にはリストラをしつつ組織変更を行いながら、配置転換も考えられます。
その配置転換で、プライマリーからの希少疾病への異動は大いに考えられます。
それらを踏まえ今後のMRの雇用の安定さを考えると個人的に
大手外資系(希少疾病)>ノバルティス(プライマリー)>外資系オンコロジー>外資系ベンチャーor大手外資系(プライマリー)>>>内資系製薬会社
の順だと思っています。
外資系ベンチャーと大手外資系(プライマリー)は迷います。
やりがいをもとめるなら外資系ベンチャー、安定を求めるなら大手外資系ベンチャーですかね?
ここら辺の記事も書いていますので、興味のある方は合わせてご覧ください。
今回調べてみて、改めてプライマリー領域の厳しさが鮮明にでました。。
ただ本当にノバルティスだけはプライマリー製品が充実していましたね。
自社開発品も多いですし、他の製薬会社から考えてもノバルティスの研究部門は一味違う気がします。。。
ノバルティス以外のプライマリーMRは間違いなく自社の他部署に異動か他ベンチャー企業に転職した方が良さげです!!
転職するならタイミングが重要ですし、そのタイミングを把握するうえでビズリーチは優秀です。
既にプライマリー領域は終了していますので、早めの転職がその後の10年を決めます。
あと初めてグローバルホームページを見てみたんですが、全体としてオンコロジー製品が充実していますね。
特にPD-1製剤に関して、メルク、ロシュ、アストラゼネカもかなり力を注いでいるような感じです。
オンコに興味がある方は別に記事も書いていますので、ご覧ください。