現役MRが製薬会社の営業マンの仕事内容をどこよりも細かく解説するよ。
「現在就職活動中です。
MRの仕事内容って、、、何なんですか?
イチから教えてください」
結構、就活生の間でも認知されてきた製薬会社の営業マン=MR。
仕事内容について、ネット情報を見てみましたがどれも当たり障りのない情報ばかりで、間違ってはいないけど、、、自分が就活生ならもっと開示して欲しいなぁ~っていう内容がいっぱいありました。
僕のスタンスはフルオープンなので、ノンフィクションで赤裸々に公開しています。
MRって捉え方によって「つまらない」or「めちゃ楽しい」と感じる仕事なので、1人でもMRが好きになってくれるように全力で書いていきます!
目次
MRって何ですか?
MR=medical Representativeの略で、日本語では医薬情報担当者となります。
その名の通り、自社の医療用医薬品の適正情報を医師や薬剤師、看護師などの医療関係者に伝える仕事になります。
MRは製薬会社の営業マンと認識されていますが、本来は自社医療用医薬品の適正使用促進が主な仕事内容になっています。
医療用医薬品とOTC医薬品の違い
MRは医療用医薬品のみの情報提供を行います。
医療用医薬品とは医師からの処方せんが出ないと手に入れることができない薬の事です。
よく対比されるのが、OTC医薬品です。
OTC医薬品は薬剤師、登録販売者が薬局やドラックストアに在籍していれば、販売できる薬を指します。
一部、法律が変わり医療用医薬品のみでしか扱っていなかった薬がOTC医薬品としてドラッグストアで販売できるようになりました。
代表的なものはロキソニンやボルタレンですね。
このOTC医薬品を販売する営業マンも製薬会社の中にいますが、全く交流はありません。
他の営業とMRの仕事内容で決定的に違う点
それは「価格交渉がない」ことです。
1991年の独占禁止法が一部改正になるまでMRが価格交渉を行っていましたが、今はMSと呼ばれる特約店が医療機関との価格交渉を行っています。
MRの本来の仕事は医療用医薬品の適正使用促進のための情報提供ですので、そこにお金が関わると薬の本質でなく、お金の力で処方が決まることを懸念しての改定でした。
価格交渉を行っていた時代のMRは凄い営業のオンパレードだったのはご存知でしょうか。
1991年以前のMR活動をしていた先輩方がよく昔はよかった!と口を揃えて言います。
そもそもMRでなく「プロパー」と呼ばれていた時代です。
プロパーとはPropagandistの略で、日本語では宣伝者と略します。
価格交渉が自分でできるので、添付販売とキャッシュバックが主流の売り方でした。
決算月など、どうしても売り上げが必要な時期に添付販売が行われます。
当時のやり取りを再現してみましょう!
プロパー「今月はキャンペーン月なので、半年分購入いただければ、3か月分添付しますよ!」
Dr「3か月分じゃ買わないよ」
プロパー「ん~~~、それじゃ5か月分で!!」
プロパー「今月はキャンペーン月なので、半年分購入いただければ、10万円現金でお持ちいたします」
Dr「仕方がない、、、入れてやるか!」
こんな感じ交渉が行われていたそうです。
ここまでして各社がプッシュ販売する理由は「在庫圧による処方増」を狙っての事です。
昔はほぼ100%が院内処方でした。
自分の病院・クリニックの棚に同じ薬が9か月分もあれば、競合品より優先して処方されます。
むしろ胃薬くらいの軽い薬であれば、関係ない人にもどんどん処方されていました。
そのような背景もあり、日本国はクスリ大国だと世界中から言われています。
基本的なMRの活動
自社医薬品の医療用医薬品の情報提供です。
会社から支給されたスライドを使い、会社から用意されたトークを展開する。
そのトレーニングのため、月1回の研修が1日あります。
時々、先生のところを訪問していると、副作用の報告を受けます。
その副作用を会社に24時間以内に報告することも重要な仕事内容になります。
副作用は軽度のモノから重度のモノまですべて報告になります。
あとは会社によって違うんですが、日報が存在します。
先生とのやり取りをポイントをまとめて報告するパターンや訪問した先生だけ訪問するパターンがあります。
結構面倒ですが、医局の待ち時間に日報は仕上げているMRが多いですね。
時々あるイベントについて
MRのいうイベントとは講演会、Web講演会、製品説明会、社外講師勉強会があります。
1つ1つ説明していきますね。
【講演会】
担当エリア(県)のホテルなどの部屋を借りて、全国のお偉い先生の演説を自分の訪問している医師、医療関係者に聞いてもらう事です。
主に新製品発売や処方促進になる臨床試験が発表された時に行われる事が多いです。
なぜなら、この講演会の目的は自社製品の処方促進のために行うからです。
日本では、だれも使ったことのない薬を治験などで使用経験がある先生に使用実感を話してもらう。
処方促進になる臨床試験の責任医師に、この臨床試験の意義を話してもらう。
みたいなイメージです。
それを聞いた先生は「この薬いいなぁ」と思い、患者さんに処方してもらう事で製薬会社としても売り上げが上がっていきます。
【Web講演会】
前述の講演会をインターネット上で展開したのがWeb講演会です。
1つの会場に集めて行う集合型と先生自身のPCで視聴していただく個人型に分けられます。
ともにリアルタイムに視聴していただくことが原則となっています。
プラスのメリットとして、
集合型は、お弁当を提供することが認められています。
個人型は先生の好きな場所で好きな環境下で視聴して頂けます。
基本的にリアルタイムでの視聴ですが、後日、オンデマンドとしても視聴できます。
ただ、なかなか忙しい先生に見てもらうにはハードルが高い部分があります。
【製品説明会】
講演会がお偉い先生が自社医薬品のポイントを解説して頂けるのに対し、製品説明会は自分が先生に向けて自社医薬品の説明を行います。
特に新しいデータが出たとかのタイミングでなく、慢性的に定期的にしています。
先生もまた聞いたよ。。。。と思われるケースもありますが、提供するお弁当がキーになる場合もあります。
あの会社のお弁当は美味しかったから、今度処方してみよう。。。みたいな感じですかね?
【社外講師勉強会】
自分が所属する営業所のメンバーの担当の先生から講義を受けます。
製薬会社の社員の教育の一環で行われるのが本来の目的ですが、先生にも謝金をお支払いしますし、その後に食事もいけます。
接待が禁止になっている製薬業界で、この社外講師勉強会の後の食事は重要な意味を持ちます。
(これは接待でなく、製薬会社の規定の中では慰労会扱いになっています。)
多い会社では2回/月くらいは行っているので、社員の教育なのか処方促進のための接待なのか区切りが非常に難しいところです。
現在のMRの仕事内容(少し踏み込んだ内容)
昔は何でもアリだったことを先ほど書きましたが、今は逆にできることが限られています。
少し前述してしまいましたが、接待は禁止になっています。(接待=先生と食事に行く事)
さらに、ディオバン事件やCASE-J事件もあり、使用できるスライド・文献もガイドラインに決められているため、ほぼ本社から支給されているモノしか提供できなくなっていますので、活動範囲は狭くなっています。
本当の意味で自社医薬品の情報提供者になっていると言えます。
そんなガイドラインあっても、こっそり自分で作ったスライドを出したらいいじゃん!
と思われる方もいますが、厚生労働省から覆面医師と呼ばれる医師が全国の医療機関に配属されており、しっかりガイドライン通りに情報提供が行われているのか監視されています。
僕の友人は製品説明会終了後に映写されたスライドの横に立って、一枚一枚写真を撮られたと言われていました。
こんな状況なので自作スライドを使って、万が一見つかれば懲戒解雇の対象になるので、どの人も会社通りのスライドで情報提供をしています。
MRの一日のスケジュール
以前に記事に詳しくはまとめていますので、そちらをご覧いただければと思います。
基本的にMRは「自由」です。
外資系を中心に直行直帰の文化が根付いているため、会社に出社する必要はありません。
つまり、上司はMRが昼まで寝ていても分からないんです。
だから自己管理ができる要素が求められます。
MRをしていて難しく感じる事
MRは医薬情報担当者と営業マンの両面を持っていることが非常に難しいと感じます。
具体的には、自社医薬品の適正使用のため情報を提供するのが仕事ですが、数字のノルマも製薬会社から背負わされている点です。
会社の目標が厳しくなってくると薬局やクリニックに数か月分前倒しで買ってもらう「詰め」という作業があります。
プロパーの詰めとは違い、詰めの作業は在庫圧がありません。
結局、一時的な処置にしかならないんですが、会社は短期的な視点しか持たないため、この詰めの作業を繰り返します。
これがMRをしていて最大のデメリットだとも言えます。
無意味な作業を半年に1回行うんですよ。。。
MRの仕事内容から考える必要な事
やっぱり「勉強」です。
当然ながら医療は日進月歩で進んでいます。
今までの常識が非常識になるケースも珍しくありません。
だからこそ優秀なMRは常に勉強をしています。
先生に提示できるスライド・資料は限られていますが、自分で勉強して口頭で先生に伝えたりして工夫をしています。
先生から質問が出れば文献も持参できるので、そうやって先生の信頼を勝ち取っていきながら、処方に繋げたりしています。
MRをやっていて良かったと感じた事
僕は生活習慣病の薬と希少疾病の薬のMRをした経験があります。
生活習慣病は患者さんはめちゃくちゃいますMEが、ほとんど軽症(命の危機はスグには直結していない)です。
ですので、どちらかというと製品だけでなく個人の力になってきます。
あいつ面白いから使ってやろう!!などなど、、、
逆に希少疾病は重度の患者さん(命の危険性がある場合)が多いです。
先生もその患者さんの事を中心に考えながら、仕事をしていて、その患者さんに合う治療法を探しているんです。
そこの自分がMRとして自社製品を勧め、処方してもらい、患者さんと先生が喜んでくれたら、、、、
めちゃくちゃ最高じゃないですか!
あの勉強は無駄じゃなかったと思える瞬間です!
僕はそんな経験と幾度と出会う事が出来て、最高のMR人生を歩めていると感じています。
やっぱりMRが好きだ!
人によってはつまらない。。。と思っている人がいます。
そう思っている人の共通点を考えてみたんですが、
無理やり面白く見せて先生に気に入ってもらうのはツラい
勉強がツラいし、意味がない
やらされている感が強い
まとめていると、、生活習慣病の薬を扱っている領域のMRの仕事がつまらなくしているんかな?と思ってしまいました。
正直1日何人会え、今月はダレダレを訪問できていないぞ!と上司から言われます。
その時点で言われた方も言っている方も面白くないですよね。。。
もちろん、生活習慣病のMRでも楽しいと思っている人はいますが、割合的に少ない印象です。
面白くない仕事を続けている理由は給料が良いからです。
そんな嫌な仕事を40年続けられることって、、、、ある意味才能ですが、僕は嫌ですね。。。
逆に、僕はMRの仕事がめちゃくちゃ好きです。
つらい勉強も意味を成す
給料が良い
やっぱり経験してるから、心からそう思います。
ちなみにMRの給料を時系列に記事にまとめていますので、ご覧ください。
まとめ
規制されている中でもMRは患者さんのためになる仕事
MRの仕事を楽しいorつまらないと感じるかは紙一重
MRの仕事内容から現役MRが感じることを記事にしてみました。
これはノンフィクションですし、読者の皆さんが各々感じられることもあるかと思いますが、MRってめちゃくちゃ面白いし、社会的意義も高い仕事だと思っています。
それに加え、高給ですので、家族も幸せにできる仕事なんですよ!
ただ一方で給料だけのために働いている人がいるのも事実です。
そんな時、自分の状況を冷静に判断して、MR→MRで転職することがベターな選択だったりします。
おそらく就活生の人が読者として多いと思いますが、そんな事も頭の片隅に置きながら就活がうまく行くことを願っています!
もし何か疑問があれば気軽にご連絡ください。