新型コロナによる訪問自粛から考えるMRの価値
こんにちは、ユウトです。
2020年2月末からスタートした新型コロナウイルスによる医療機関側からの訪問規制強化、製薬会社が自主的にMRの訪問を自粛…
どちらにしろ、いつも廊下に立っていたMRが、とある日を境にピタリといなくなる現象が起きています。
新型コロナが流行する前は、MRという仕事は不要論が議論される仕事でした。
このような状況になり、MRゼロの環境になっています。
偶然にも突然このような状況になり、最大の顧客である医師はどのように感じているのでしょうか?
いなくなってから分かるMRの価値もあるのではないでしょうか?
むしろいなくても大丈夫と顧客は感じているのでしょうか?
ミクスの記事によると3割の医師がMRの訪問がない事に「困った事がある」と回答しています。
参考記事:新型コロナで訪問規制強化 勤務医の3割、医薬品情報入手できず「困ったことあった」
(逆をいうと7割の医師は困ったことがないと言うことです)
本日はこのような情報を元に、現役MRの僕が考えるMRの価値を具現化していこうと思います。
あくまでも主観的な部分が入っていますが、楽しんでもらえれば嬉しいです。
目次
新型コロナによる訪問自粛から考えるMRの価値
最初に結論を言ってしまうと、MRの価値を高めるチャンスです。
現在、医師が困っている情報は、簡単にM3やドクタージョイなどのシステムでカバーできます。
ただそれらに交換できない価値がある事も同時に分かりました。
その部分を強化することが、今後MRに求められる部分なのかもしれませんね。
医師が欲している情報
冒頭の記事や他リソースを一通りチェックしました。
MRが訪問できない事により、医薬品情報が医師に伝わらない記事を目にします。
具体的には、以下のような5つの情報にまとめられます。
❷長期処方のタイミングが分からない
❸薬剤の使用感の話
❹専門外の話を聞く機会がなくなった
❺医薬品情報以外
この5つの項目を外部ツール(M3やドクタージョイなどのリソース)で補えるものと無理なモノを分けてみました。
M3などでカバーできる情報
外部ツールで補うことが可能なのは❶、❷の情報と考えます。
❶新薬の情報
MRが必須な場合もありますが、ピカ新の場合のみ必要と考えています。
新薬と言っても作用機序が同じの薬剤が既に発売している場合が多くあります。
そういった場合は、案内だけでよい気がします。
※売れる・売れないは考えていません。あくまでも医師が求む新薬の情報と考えています。
❷長期処方のタイミングが分からない
メールや薬剤部からのアナウンスで十分でしょう。
気になる薬剤であれば、メールが流れてきた時点で医師が気付きます。
わざわざMRが訪問して、
「来月から長期処方が可能です…」
「来週から長期処方が可能です…」
「今日から長期処方が可能です…」
と毎週のようにアナウンス時代が懐かしく感じる時代がくるでしょう。
万が一、製薬会社が一時的にMRが必要…と感じる時は、コントラクトMRを短期間で採用する形態が増えると考えています。
CSOと製薬会社が新薬のコール数を契約として、派遣されずCSOの名刺でアナウンスだけで医療機関を訪問する働き方も考えられます。
少なくとも❶、❷を目的としたMR雇用は考えないでしょう。
MRしか提供できない情報
一方、❸、❹、❺はMRの存在価値を示せる可能性があります。
❸薬剤の使用感の話
人は初めて使用したモノの使用感を確認したくなります。
例えば、iPad Pro を初めて使用した時の事を思い返してください。
実際使用してみた実感や他に活用方法はないかな?とインターネットで検索しますよね。
・これもできるんだ…
・こんなことはWindowsの方が使いやすいんだ…
こんな感じで多くの人は、自分の使用感と世間のiPad Proの使用感を確認します。
それと同じで、先生も初めて処方した薬剤の使用感を確かめたくなります。
・どんな患者さんに適しているのだろう…
・こんな使い方はできるんだろうか…
・そもそも他の先生は、どんな使い方をしてるんだろうか…
iPad Proなどの製品は厳しく規制されていませんので、インターネットに多く情報があります。
しかしながら、医薬品に関しては規制があり情報が少ないです。
もう一歩踏み込むと、医薬品の情報はマネタイズ(情報をお金にする作業)の方法がありませんので、情報を発信する立場にメリットが少ない事も情報が少ない理由でもあります。(ゼロではありませんが…)
このような背景もあり、薬剤の使用感をディスカッションする事はMRの価値を上げるチャンスかもしれません。
❹専門外の話を聞くことがなくなった
特にプライマリーの製品は、このような潜在的な要望があると考えています。
外科専門の先生が開業しても、
目に前に来る患者さんの多くは高血圧や糖尿病、脂質異常症、逆流性食堂炎、咳ぜんそくの治療を望まれています。
今まで職人として手術をメインにしてきた先生も目の前の患者さんの治療に没頭しないといけない状況に陥ります。
専門外の情報を手に入れる事は、先生にとって死活問題であります。
これこそ、インターネットから情報を手に入れればいいのでは?と思われる方も多いでしょう。
しかし多くのプライマリー疾患の情報を自分で一から調べるのは、めちゃくちゃしんどいです…
誰かに聞きながらの方が効率は良いハズです。
ここにも他領域の専門の先生の使用実感が加われば、先生も喜ぶかもしれません。
上記の例は極端かもしれませんが、ニーズは間違いなくあります。
ちなみに、希少疾病の情報も医師からすれば人生で1人診察するかしないかの情報はMRからもらう方が有難いと思われるかもしれませんね。
❺医薬品情報以外
医薬品の情報だけでなく、趣味や面白い情報です。
こんな情報、ニーズがあるの?と思われる方もいるかもしれませんが、需要のある医師もいます。
考えてみると、医局や病院、クリニックなどの狭い空間に毎日いる先生はストレスが溜まります。
だって、毎日同じ人に出会って、同じルーチンで業務を行うわけです。
・開業医の先生であれば、スタッフの不満不平もあるでしょう…
・医局員であれば教授からの無茶ブリもあるでしょう…
・毎日同じルーチンで人生に刺激がないと感じている医師もいるでしょう…
こんな時、MRが訪問してきて色々な話をすると先生も息抜きになります。
インターネットでは作ることのできない、人の繋がりです。
ZOOMなどのリモート面談でも可能じゃありませんか?とご意見を頂きそうです。
そんな先生もいるでしょうが、一度も直接面会した事のない人に心を打ち明けるのは難しいのではと思っています。
まとめ
冒頭で3割の先生はMRの訪問が無いことに「困ったこと」があり、7割の先生は関係なかったと取り上げました。
個人的にはもっと多くの先生がMRの訪問が無いことに困ったことがあると、今後回答するのではと考えています。
おそらく7割の先生に、MRの価値が伝わっていないだけです。
有益な情報を先生に届けることができれば、間違いなくMRの価値は上がります。
そんな意味で新型コロナで訪問できない状況は、今後のMRの価値を上げるチャンスでも非常に重要なポイントだと考えています。
今までMR不要論が取り上げられたのは、MRの失礼な営業スタイルが問題とも考えています。
医師や医療従事者に対して、何の配慮もなくズタズタ自分の言いたいことだけ伝えて帰るMRを多く目にしました。
価格交渉ができなくなったから、プロパーの価値が亡くなったんじゃなく、
接待ができなくなったから、MRの価値がなくなったんじゃないです。
気付いている方も多いかもしれませんが、今までの環境が異常すぎたんです。
確かにヘルスケア業界である以上、ある程度の規制は必要です。
その規制の中でデキる事を淡々と行えば、MRの価値は上がるハズです。
そんな意味で、異業種の営業マンは生粋のMRより優れた部分が多いかもしれません。
会社の幹部も異業種からの転職組も多いのも納得します。
みんなでMRの価値を最大化させましょう!
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