MR1年目がPubMedを少し使いこなせたら、顧客と社内から優秀と思われる話。
こんにちは、ユウトです。
大手製薬会社でMR歴10年超にもなれば、指導係として僕が担当した新人MRは6人になりました。
1人1人によって指導するレベルは違いますが、社会人として基本レベルがクリアできている新人にはPubMedの基本的な使い方や大学病院の歴史・先生の勤務形態など知る限りの知識を教えたりします。
特にPubMedはイチから教えるので、大変なんですが、医療関係者の1人としては絶対押さえておくべき機能だと思っています。
※PubMed:世界各国の医療ジャーナルを調べることができる無料検索エンジン。Wikipedia
さて、先日以下のツイートをしました。
Pubmedの使い方ってニーズなるんですかね…
例えば、A製品を使ってて、aという副作用が出た…なんか文献ないって要望された時に、的確に検索する方法
— ともちん (@yutomr55) February 19, 2019
Pubmedの使い方ってニーズなるんですかね…
例えば、A製品を使ってて、aという副作用が出た…なんか文献ないって要望された時に、的確に検索する方法
少しニーズがありそうなので、僕が新人にレクシャーをしている内容を一挙公開したいと思います。
大学病院を担当している方は、知っている内容なので、若いMRに読んでもらえれば嬉しいです。
目次
MR1年目がPubMedを少し使いこなせたら、顧客と社内から優秀と思われる話。
僕がPubMedを教えようと思う新人MRは、基本的に優秀ですが、さらにPubMedで評価を上げています(本人談)
評価が上がる流れは以下の通りです。
【顧客の評価が上がる理由】
①疑問点をMRに聞く
②PubMedに的確に、早く調べて解決する
③予想以上に早い・的確な対応に評価が上がる
④不明な点があれば調べてもらおうと思う
➄慣れてくれば、顧客に提案も同時にできるようになる
【社内の評価が上がる理由】
⓪そもそもPubMedの基本さえ使えない人が多い
⓪多くのMRは、質問は社内部署に問合せ
①顧客からの信頼アップで処方が増える可能性大
②上司同行の際も顧客が本気で褒めてくれる
③先輩が困っている事もPubMedで解決できる
④学術知識が自然と身に付くので、あの人に聞いたら教えてくれると思われる
➄色んな情報がどんどん入るので、同僚からの信頼アップにつながる
自分で調べても、社内で調べても、素早く対応できます!
と思う人もいるかもしれませんが、やはり自分で調べていれば顧客から突っ込まれても自信を持って対応できます。
「ここまではPubMedで調べました!」みたいに…
つまり言葉の重みが変わってきます。
だから自分で調べる力を持っている事も凄く大切です。
※大前提に顧客に提供できる資料は会社によって限られています。各社のルールを確認の上、ご対応くださいね。
MR1年目に限らず、最低限知っておくべきPubMedの使い方
PubMedの画面を確認
こちらをクリックすると、以下のようなPubMedのホーム画面に移動します。
※PubMed公式URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/
初めてPubMedを見た方は、E I GO…とフリーズされたかもしれませんが、全て英語です。
もちろん検索ワードも英語で検索しなければなりません…
英語が苦手な方も多いと思いますが、PubMedの使い方も医学文献を読むのも慣れが一番です。
なぜなら、医学に利用される単語や言い回しは同じようなモノが多く、頻繁に見ていれば分かるからです。
では、以下の条件を調べる手順を解説していきます。
②免疫グロブリンによるC型肝炎の副作用報告は?
PubMedで検索する前に検索ワードを英語に変換しよう
まず検索したいワードをライフサイエンス辞書を利用して英語する必要があります。
①のケースで薬物動態の単語が分からなく、ライフサイエンス辞書で検索すると以下のように表示されます。
薬物動態=pharmacokineticsと分かります。
このように検索したいワードをまずは英語に変換する必要があります。
実際、PubMedで検索してみよう
PubMedで検索する前に1つだけ知っておくルールがあります。
それは複数のワードで検索する時、スペースはANDの意味になります。
つまり上の画像で検索した場合「アフリベルセプトと薬物動態」で検索され、全部で77件ヒットしました。
今回の例では、検索ワード自体がニッチなので、件数が少なく全てチェックすることが可能です。
例えばリバーロキサバンの心臓病の有効性を検索する場合を考えてみましょう。
この場合「Rivaroxaban and Heart Diseases」と検索する人がほとんどだと思います。
ただ残念なことに、心臓病をHeart Diseasesの一言で表すことは不可能です。
PubMedの設定で、心筋梗塞や不整脈などをHeart Diseasesの一言で表現することが不可能だからです。
厳密には1つ1つの疾患名を入力しなければいけません…そんなこと非現実的なので、そんな時、利用するのがMeSHと呼ばれるツールです。
知りたい内容を的確にPubMedで調べる方法【MeSHの活用】
MeSHで調べるとよりピンポイントで検索することが可能です。
では早速、②の免疫グロブリンによるC型肝炎について調べてみましょう。
ライフサイエンス辞書で前もって、知らない英語は検索しておきます。
MeSHを開き、hepatitis Cを入力してsearchをクリック
Hepatitis Cをクリックする
「Chemically induced」の項目にチェックを入れ、右の「Add to Search builder」をクリックする
今度は、検索スペースに「immunoglobukin」を入力し、Searchをクリックする
同じように「immunoglobulins」をクリックする
「adverse effects」にチェックを入れて、先ほどと同じように「Add to Search builder」をクリック後、「Search PubMed」をクリックする
すると目的の文献が検索されます。
このようにMaSHを利用すれば知りたい文献を検索することが可能になります。
実はMeSHで検索する時、以下の公式があります。
・A薬物を使用した時、a疾患の副作用を知りたい ⇒ 「疾患のchemically induced」 AND 「薬物のadverse effects」
・A薬物のbに対する有用性を知りたい ⇒ 「疾患のdrug therapy」 AND 「治療薬のtherapeutic use」
知っておきたいPubMed検索のルール
先ほど、検索ワードの間はANDと暗黙のルールをお伝えしましたが、その他にも検索ルールがあります。
以下の4つくらいは押さえておいて損はありません。
①あいまいなワードの語尾に*をつけると、前方一致検索になる
例)pollin*=pollinosis、pollinotic、pollination…
②著者名の検索は姓=フルネーム、名はイニシャルで入力
例)yamada A
③熟語は””で一緒にする
例)”quality of life”、”Type 1 Diabetes”
④雑誌名は略してもOK
例)NEJM、BMJ
どうしても日本語じゃなきゃいけない…
PubMedを利用する時は、英語が基本です。
ただどうしても日本語で利用したい人のためにQlifepro医薬翻訳のサイトをご紹介します。
Qlifepro医薬翻訳公式URL:http://translate.qlifepro.com/
無料で利用でき、PubMedのアブストラクトを勝手に日本語に変換してくれるサイトです。
翻訳もそこまで優れたものではありませんが、文献の雰囲気は分かります。
どうしても、英語が苦手…と言われる方はこちらのサイトを利用しても良いかもしれませんね。
ただピンポイントで知りたい場合はMeSH機能は備わっていませんので、その点は悪しからず……
まとめ
MR1年目の人にとっては、もしかすると難しかった内容かもしれません。
ただ、これを難しい…と思って逃げるのか、面白いと思って積極的に取り組むのかによって、未来は違ってきます。
未来なんて大袈裟に…と思うかもしれません。
だけど、製薬会社の変化は著しく、希少疾病のパイプラインが益々増えることから、学術知識は最低限求められるでしょう。
その点でもPubMedは最低限利用しないといけないですし、使い方をマスターしておかないと武器になりません。
幸いにも?現役MRで本編の内容さえマスターしているMRは20%程度だと感じています。
使いこなすことができれば、今ならポジションを取れることができます。
以前紹介した「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」で言っている錯覚資産を手に入れるチャンスでもあります。
もちろん評価だけじゃなく主体的に動けるようになり、自分自身のモチベーションにも繋がるので、プラスのスパイラルはどんどん回っていきますよ☆